大学受験に英語不要?入試改革が与える受験生への影響は
英語民間試験の導入の問題点について、「居住地域における金銭的負担格差の問題」や「各試験の実施の公平性の問題」などについてみてきましたが、英語民間試験の導入にあたっては、以前から他にも複数の問題が指摘されてきました。
・英語民間試験の導入の問題点は?
・英語民間試験に各大学はどう対応した?
・2021年度大学入試改革は結局どうなるのか。
今回は、これらについての記事をまとめていきます。
◆成績提供する民間試験の受験時期について
大学入試に活用できる英語民間試験の試験結果は、「高校3年生で受験した試験」を「2回」のみ活用できると規定されていました。
しかし、高校3年生で受験した時より、高校2年生の時に受けた試験のほうが試験結果の良い受験生もいるかもしれません。
また、高校3年生になるまでに、すでに大学入試に活用したいと思えるほどの、十分に自分が満足する受験結果を出せていた場合も、また新たに受験料を払って高校3年生の時に受験しなければならないのか、などの問題がありました。
◆複数の試験の整合性と、大学ごとの対応の差
また、大学入試への活用が発表されていた民間試験は8種類あり、それぞれが内容の異なった試験内容で、各試験によって求める能力も異なってきます。
それらの異なる試験によって一つの大学入試の結果をはかるのは、整合性にかけるのではないかという指摘は、複数の英語教育の専門家から以前より出ていた声でした。
また、英語民間試験の導入については、そもそも大学入試を行う大学側の、活用の方針にばらつきがありました。
大学ごとに民間試験活用に差があり、受験生にとって不公平であることや、そのばらつきのために、受験生が大学ごとの情報を集め、複数の民間試験を受験する必要が出てくるなど、受験生にとっての負担が大きいとの問題点もありました。
◆「共通一次試験」は延期を繰り返した
1979年から、1989年までの11年間11回にわたり実施されていた「共通一次試験」は、現在のセンター試験の前身となった試験です。
この「共通一次試験」の導入時も、様々な問題点が浮上し、延期に次ぐ延期で、やっと導入されたという経緯があります。
◆まとめ
・英語民間試験の導入には以前から複数の問題点があった
・センター試験の前身の「共通一次試験」導入時も延期が繰り返された
・今後、問題点と向き合いながらの大学入試改革が必要
導入発表当初より、複数の問題点が指摘されていた英語民間試験の導入は、萩生田文部科学省大臣の「身の丈」発言をきっかけに、一度立ち止まるきっかけを得たといってもいいかもしれません。
文部科学省からの発表によって情報を左右されたことにより、受験生にとっては不安が大きいと思います。しかし、このまま2021年度に英語民間試験の導入が行われていれば、人生を左右する大切な試験において、受験生ごとの様々な差が生まれ、整合性にかけた大学入試になっていた可能性が高いです。
日本の大学入試改革が目指していた、「英語4技能の活用」は、これからの社会で必要な力です。
国としては、今回の大臣の発言で大学入試について一度立ち止まって考え、問題点をしっかりと解決した後に、日本の大学入試改革を行っていく必要があるのではないでしょうか。そして受験生は、今目の前にある課題や問題をこなすことを大切にしながら、今後の大学入試情報についての情報も見逃さないようにしてください。